青春 Karate history ㊱初優勝!!『88’正道会館全日本選抜空手道選手権大会』

4月の大会では不甲斐ない試合をした私でしたが悔しさよりも何かプレッシャーから解放されたようで逆にやる気が漲ってきました!今までの戦績4位1回、3位3回、準優勝3回と勝ちきれていません。優勝する為には自分には何が足りないのかを良く考えました。思い返すと本番までに決めていたメニューを完全にこなした事が無い事に気づきました。どこかで体調を崩したり疲れている事を理由にノルマをこなさかったり弱めたり等色々と思い当たる節がありました。次の大会はどんな事があっても決めたメニューを全て消化する事、自分の苦手(嫌い)な稽古を優先的に行なう事、身体を鍛え直す事に重点を置くことに決めました。勿論指導も手を抜くこと無く行なっていましたよ!本番までの3ヶ月しっかりと稽古を行ない今までにないくらいの自信を持って本番を迎える事ができました!1988年7月3日大阪府立体育館第2競技場で開催される『88’正道会館全日本選抜空手道選手権大会』に出場しました。今大会は9月に開催される『第7回全日本空手道選手権大会』に向けての選考会を兼ねた大会となるのですが、今年の全日本大会より導入される新ルール(再延長戦で引き分けで両者に10㎏以上の差がない場合はグローブ着けて顔面有り有りルールで勝敗を決する)の実験の場という意味合いも兼ねた大会でした。正直このルールに合わして特にグローブを着けた稽古は殆ど行なっていませんでした。自分の中では常に顔面は想定して稽古していましたし今大会は従来の空手ルールで優勝したい気持ちが強かったです!出場選手は有段者のみ16名でしたが前大会で負けた藤田君や武澤さん石本さんや山内君という同世代の競合選手に混じり何と第3回全日本大会5位、拳武道全日本優勝の野村卓先輩や全日本6位の宮崎保之先輩がエントリーしていました。この両名の大先輩は私が中学生時に全日本大会で活躍されていたレジェンドです。3月全九州大会で同世代のレジェンド東雅美先輩に完敗しているのでここは何としてでも両先輩に勝って優勝を決め自分の殻を破りたい所です。1回戦は赤穂の鵜崎選手と対戦し終了間際に左の中段廻し蹴りで技有りを奪い判定勝ち。2回戦は私が苦手とするタイプの山本稔先輩。前に対戦した時も再延長までもつれる接戦でしたので、もしかしたら顔面までいくかな?と思っていました。案の定従来ルールでは決まらず体重判定の結果10㎏差が無いことからグローブ戦に突入しました。グローブ戦に入っても落ち着いて戦う事は出来ていたと思います。途中何回か出したフックで少し手応えを感じました。終了間際に出したフックはそんなに手応えはありませんでしたがタイミングが良かったのか山本先輩がダウンし技有りを奪え判定勝ちできました。そしていよいよ準決勝戦で『稀代のワザ師 野村卓先輩』との対戦となりました。野村先輩には本部の稽古で組手をした時にレバー打ちで効かされた事があったので警戒しました。又普段から厳しい先輩でよく怒られたりもしていましたので気持ちで負けないよう怯まないよう自分に言い聞かせました。軽量ですが多彩な技で攻めてこられ時折上段廻し蹴りが顔をかすめます。延長戦では飛び後ろ蹴りや後ろ回しの大技も使ってこられました。何とか凌いで再延長戦へ突入。両者掴みが多いとの事で上衣を脱がされます。逆にこれで突きがよく出るようになりました。中盤から右の下段廻し蹴りもいい感じで入るようになり終盤先輩に少し疲れがみえたところを責め立て判定勝ちを収める事ができました。そして決勝戦逆ブロックで2回戦で武澤さん準決勝戦で藤田君という同世代の強豪たちを破り勝ち上がってきたのはもう一人のレジェンド『静かなる武人 宮崎保之先輩』でした。仲間たちが次々に敗れるのを目の当たりにしてここは絶対に俺が勝手世代交代をするぞ!と強い気持ちをもって決勝戦に臨みました。宮崎先輩は手足が大きく骨が太く一発一発がとても重く強かったです。何とか耐えながら先輩のパワーにもっていかれないよう技と手数、気合で負けないよう対抗しました。延長戦の後半に野村先輩との準決勝でよく出た右の下段が出るようになりましたが宮崎先輩の手数も落ちません。延長戦も引き分けとなり再延長戦へ。今大会かなり延長戦を戦ってますが九州大会の時ようなしんどさはありません。むしろ気持ちが充実していて闘争心が落ちることはありません。教え子の子供たちの声援もとても良く聞こえ冷静さもありました。『ここまできたら絶対に優勝するぞ!子供達のためにも負けないぞ!』と自分に言い聞かせました。再延長戦に入っても宮崎先輩の動きは落ちませんが自分も絶対に引けません。後半は宮崎先輩を何回か場外に押し出す事もあり正直『勝てた!』と思いました…。が判定は副審1名と主審が支持してくれましたが結果は非情にも2-0で引き分け…。『またか…』嫌な予感が頭を過りましたが体重測定の結果中川72kg、宮崎先輩83kgで10kg差があるため私の優勝が決まりました!初試合から苦節4年諦めずに良かったです。この時本当に努力した事は報われると思いました。表彰式で石井和義館長が私の事を『疲れを知らない闘争心!』と評価してくれました。それがとても嬉しく現役時代は常にその気持ちを忘れないよう戦っていました。初優勝できましたがまだまだ目標は上です。次は正道会館全日本入賞と他流派全日本優勝を目標に定めました。

1988年7月3日
大阪府立第2競技場で
学生大会と同時開催されました
身体も鍛え直しました
指導後は後輩達にミットを持ってもらい嫌いなスタミナ練習を
たくさん行いました
    16名のトーナメントですが若手の強豪、レジェンドの先輩たちがエントリー
まさしく武人という
雰囲気の宮崎先輩
私生活でも厳しく
怖かった野村先輩
みんな愛読していた
現代カラテマガジン最終号に
大会記事が載りました
大会記事
入場行進
石井館長の挨拶
審判団には川地先輩角田先輩
佐竹先輩柳澤さんら豪華陣
角田仁朗先輩近藤佳哲さんが
グローブルールを演武
一回戦姫路支部の鵜崎選手
積極的に攻めたて
終盤左ミドルで技ありを奪う
袖口を掴んでの左上段を狙う
初のグローブ戦となりますが
何故か嬉しそうな私です
途中タイミングよく
フックが当たる
試合を観ている私の横には
勝ち上がっていけば準決勝で
一進一退の攻防が続く
野村卓先輩との準決勝戦
先輩の上段が顔をかすめる
得意の左上段廻し蹴りで攻める
掴みが多いとの事で
上衣を脱いで戦う事に
後半先輩に少し疲れが見え
始めた所でスパート
気合のこもった表情で攻める
気持ちが充実してる事が
分かります
再延長でも動きが落ちない
宮崎先輩
表彰式
優勝中川敬介 準優勝宮崎保之
第3位野村卓 第4位藤田実
大会会場では黒島兄弟(後列左端の二人)の応援が良く聞こえ
力をもらえました
終了後に柳澤さんが一言
『中川君の顔面が見たくて引き分けにしてん』それは無いでしょ…(涙)

一段たくましくなったと
評価して頂け嬉しかったです

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2026年初稽古予定のお知らせ

心魂道場各道場教室の2025~2026年末年始稽古予定を下記の通りご案内致します。 南大阪本部 ・稽古納め:12月20日(土)   少年部 18:15~19:30 一般部 20:00~21:15 ・初稽古 :1月10日(